日本油化工業 » お困りの方 » 冷却水系統に貝が付く
冷却水系統に障害を起こす付着生物を調べると、大抵の地域でムラサキイガイおよび,その同属が最も多く、次いでフジツボ類やヒドロムシ類が多くみられます。すなわち、これらは海水を使用している流路では必ずといってよいほど発生し、障害の原因となっています。
冷却用海水と共に入ってきた付着性幼生の大部分は、ある時間内に物体表面に付着しないと生存できません。それはこの幼生が遊泳期から付着期に移るときに、摂食方法や呼吸方法に大きな変化が起こるからです。昆虫に例えれば幼虫からサナギに、またサナギから成虫に変わるような変態期に相当します。付着期の付着性幼生は接着物質の分泌が非常に活発で、しかも付着場所の選択能力が特に発達しています。
ムラサキイガイは海水中で、放卵放精し、海水の流れに従って受精後2時間で胚葉を生じさらに15分後に卵細胞は分裂します。約48時間後に担輪子(トロコフォア)となり遊泳するようになります。その後D状期を経て20日前後からアンボ期に入り、貝殻・足・えらなどが発達し、着生生活をはじめ、10ヶ月で体長60mmの成貝となります。
代表的な海洋生物の付着時期は下表の通りであり、一年中何らかの生物が付着します。ムラサキイガイの場合、産卵期は主として12月から4月頃で、受精後48時間程度で幼生に変態し、30~50日間の長期にわたる浮遊期間があるため、広範囲に拡散していきます。そのためどんな場所でもところかまわず付着成長することができます。
トラブル例として、海水冷却の熱交換器に貝類が大量に増殖して冷却効果が低下し減速した例や、海水潤滑の船尾管の海水系統に貝類が増殖して海水流量が減少したため、主機回転数を上げられない例が報告されています。
最近では、スタンチューブの海水ラインに貝類が増殖して海水流量が減少するため、主機回転数を上げられないケースや、軸受溝部での狭い場所で貝類が繁殖して、そのカケラが軸受を損傷させるといった報告があります。
海洋生物の付着時期 |
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分類 |
生物名 |
1 |
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腔腸動物 |
クダウミヒドラア |
△ |
△ |
○ |
◎ |
◎ |
◎ |
◎ |
○ |
○ |
○ |
○ |
△ |
軟体動物 |
ムラサキイガイ |
△ |
△ |
○ |
◎ |
◎ |
◎ |
○ |
△ |
△ |
△ |
△ |
△ |
節足動物 |
タテジマフジツボ |
○ |
○ |
◎ |
◎ |
◎ |
◎ |
○ |
○ |
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環形動物 |
カサネカンザシ |
○ |
○ |
◎ |
◎ |
◎ |
◎ |
◎ |
○ |
◎最盛付着期 ○付着期 △場所や年により付着する場合がある
一般的な貝類はおおむね3月~11月に付着し成長を始めることから、海洋生物付着防止剤である「ユニシェル」はこの時期を中心に注入し、幼生貝類の付着を防止することが効果的な使用方法です。
右の写真は、北九州に就航する双胴船の片舷にユニシェルを使用して、1年間運行した後、ドックでシーチェストを開放した時のものです。
海洋生物付着防止装置(薬液)、ユニシェルシステムの詳しい製品紹介はこちら
ユニシェルシステムは約600隻の実績あるユニシェル V6システムの改良型であり、タイマ 及びスクランブルボタンを設備して薬剤注入量を最適化し、ランニングコストの低減化を図っております。
ユニシェルシステムは、
◇性能は抜群 |
→ 失敗例がこれまでない |
◇冷却水管防食機能併有 |
→ 硫酸塩還元菌を排除 |
◇薬剤が環境問題をクリアしている |
→ 生分解性に優れる |
◇環境有害物質を発生しない |
→ 重金属イオン、塩素ガスを未発生 |
◇装置がコンパクトで軽量 |
→ 設置容易 |
◇ランニングコストが低い |
の特徴が掲げられます。
シーチェスト及び冷却海水管系への貝・藻の付着による冷却水量不足はエンジンの性能を下げ、船舶の運航に悪影響響を及ぼします。
ユニシェルシステムは、内航船を中心に、永年の実績によりその効果は各方面から高く評価されています。